有害鳥獣対策「電気柵」

私たちは野生動物の防除に「普遍的な最善」は存在しないと考えています。環境が異なり、個性も異なる哺乳動物が相手であり、管理する側もスタンスがまちまちだからです。例えば、どんなに立派な電気柵を使っても、それを管理する能力や気力がない人が使えば、漏電して容易に侵入できる電気柵を学習させてしまい、かえって悪い結果を引き起こします。

また、2.5mの頑強なフェンスを設置しても、周りの高さによってはシカがジャンプすることも考えられますし、クマやサルなら何の苦もなく乗り越えていきます。ですが、具体的な環境の中で、特定の動物種の侵入を100%「近く」防ぐことは可能で、そのためには場所や動物、管理する人に合わせた防除方法が必要です。

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そこで、防除を考えるにあたっては以下のような項目を考えるとよいと思われます。①の対象動物に合った対策をとるのは必要条件であり、これを前提に②③④⑤などの優先順位を考えることで、選択肢が決まってきます。⑥はそのうえで、現場対応の対策です。

①対象動物は何か?

動物の特性に合わせて対策は変わってきます。クマを物理的に防除しようとしたら大変なコストが掛り、事実上不可能でしょう。サルもかなり困難です。動物によって超えられる高さも違います。動物の性質や能力を知った上で対策を考えなくてはなりません。当ホームページは、対象動物別に分けたうえで、以下の②~⑥を考慮した設計を提案する、という構成を採っています。

②施工にかけられる手間はどの程度か?

公共事業などで建設業者さんが設置する場合は、太い杭を深く打ち込んだりすることもできますが、農家さんが施工する場合はそういうわけにはいきません。場合によっては50mm程度の鋼管杭さえ打ち込むのが困難な人もいるでしょう。施工可能な資材でなければ設置できないのですから、防除方法を考える上で極めて重要な要素です

③管理はどの程度まで出来るか?

電気柵を使用するのであれば漏電管理が重要な条件になります。これが十分にできないのであれば電気柵をあきらめて物理的な対策を採るべきです。

④かけられるコストはどのくらいか?

同じような機能を持つ柵でも、施工性や強度などほかの要素を多少犠牲にすることでコストにもバリエーションが生じます。

⑤求められる対応年数・物理的強度?

部材の強度(破損・劣化しにくさ等)はコストとも関連し、構造としての強度(倒れにくさ等)は施工性とも関係してくるところです。強い資材は弱い資材より高いし、倒れにくい構造は倒れやすい構造よりも施工が困難です。全部にいい顔はできません。

⑥現地にあった対策

イレギュラーな地形に対応した対策が必要です。イレギュラーである以上画一的な対策はできませんので、キタハラも製品として様々なイレギュラー地形に対応する資材を用意しているわけではありません。ただ、多くのスタッフが経験上「こういう場所はこうしたほうが良い」という目は身につけています。

以上を踏まえて対策を講じるわけですが、野生動物の防除方法は大きく分けてⅠ物理的防除Ⅱ心理的防除に分けることができます。これらの区別については、基礎編をご参照ください。
一般に心理柵の方がコストが掛らず、その代償として管理が重要になります。物理柵はほぼメインテナンスフリーですが、動物の潜みやすい環境を作らないためにも、適度な草刈り等の管理はすべきでしょう。

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